設立趣旨
正解のない問題に向き合い、自ら答えを導き出す能力が問われる時代となった現代において、教育ツールとしての玩具は数多く開発され出版されている。
近年は国内においても、他者とのコミュニケーション力や論理的思考力を身につけるためのツールとして、あるいは最新の科学研究や社会・経済の仕組みなどを一般の人に広く伝える媒体として、ボードゲーム*の可能性に注目が集まっている。かく言う私たちも、ここ数年、教育や研究の現場におられる方々とともに、いくつかのゲームの開発に携わってきた。
しかしながら、ボードゲーム大国と言われるドイツなどと比較すると、国内での開発・振興はまだ途上にあると言わざるを得ない。
例えばスポーツの野球やサッカーであれば、子どもの頃から参加できる少年野球チームやサッカーチームが全国に存在することや、高校でそれぞれ約17万人と言われる競技人口の厚みがあることが、世界に通用するレベルのプロ選手たちが育つ環境を支えている。
ボードゲームに関しても、私たちが期待している教育的効果があるならば、より多くの子どもたちに親しんでもらい国内のボードゲーム人口を増やすことが、世界レベルの研究者、デザイナー、クリエイター、プログラマー、科学コミュニケーターなどの輩出に寄与すると考えられる。もちろん、それ以外のさまざまな仕事に就く人たちにとっても、子どもの頃からコミュニケーション力や論理的思考力を身につけることは非常に有意義である。
現在の教育システムや子育て環境の中では、個人や幾人かのグループだけで開発されたゲームは世の中に浸透しにくい。そこで私たちは、主に学習要素を含むゲームの開発・振興・研究を目的としたプラットフォーム組織を作ることで、日本のボードゲーム人口を増やすとともに、日本発のボードゲームを世界に広めていきたいと考え、ここにNPO法人を設立する。
* ここでの「ボードゲーム」はカードゲームなども含むアナログゲームの総称として広義で使用している